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2017年3月2日
「カステラ食べだがあ?食べでがらいげぇ」
しわがれた声でばあちゃんが言う。
「のぼせっといげねえがら、たべでげぇ」
それは半分、怒っているような言い回しだった。
今、思えばまさしく「ばあちゃんの知恵」ってものだろう。
毎朝、5時ごろ同じようなやりとりをした。
これが、私の温泉に関する原体験である。当時、4歳ぐらいだった。
両親が共働きだったためなのか、
ばあちゃんに預けられ、共に温泉宿でしばらく過ごしていた。
それが「湯治」という温泉宿での過ごし方であったことは
知る由もなかったが、温泉は生活の一部だった。
その温泉は山の奥にあり、
川の上流だったせいで、毎朝、ゴウッーーーーっていう豪雨のような川の流れる音で目覚めた。
朝起きたら、温泉に浸かるのが日課だった。
誰もいない時間に入る温泉は子ども心にも気分は高揚した。
入口でスリッパがないのを確認し、急いでパジャマを脱ぎ捨てる。
石を敷き詰めた露天風呂、渇いた床に何の足跡もないのが妙に嬉しかった。
お湯に浸かり、ばあちゃんの言葉を頭を駆け巡った。
「もし、温泉に入る前にカステラを食べなかったら?ボクはどうなってしまうのか?」
大変な目に遭うのか?本当に怖くて空腹での温泉には入っていけないとずっと思いこんだ。
今の自分なら、二日酔いにはもってこいだと勇ましく風呂に行くだろう。
でも昔も今も目の前に広がる景色を見て入る温泉ほど、
極楽だと感じる瞬間はない。
もう、かれこれ40年以上前の話である。
けれど、「カステラたべでげぇ」はまだ覚えている。
昨日の晩飯も覚えてないのに。
そして、いまだに朝風呂が好きだ。
温泉から作られる思い出がある。
あなたも家族や大切なと共に、
あづま屋から見える蔵王の景色を味わいに温泉に浸かりに来てください。
Written by H.SHIMAZU
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